パープルヘイズSedum dasyphyllum ‘Purple Haze’

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Sedum dasyphyllum ‘Purple Haze’(セダム・ダシフィルム ‘パープルヘイズ’)

① 原種の背景

セダム・ダシフィルム(Sedum dasyphyllum)は、地中海沿岸からトルコ、北アフリカにかけて広く分布する小型のベンケイソウ科セダム属です。
直径数ミリの小さな葉を密につけ、石垣のすき間や乾いた斜面などにも自生するほど丈夫。夏には白い小花を星のように咲かせる姿が知られています。欧州の植物誌や国際データベースでも、この種は「匍匐してマット状に広がる性質」を持つ代表的なセダムとして記録されています。

② ‘Purple Haze’ という名前について

「パープルヘイズ」は、正式な園芸品種として国際的な登録簿に載っているわけではありません。けれども、寒さや乾燥で葉がしっかり紫に染まる特徴を強調した株に対し、日本を中心に流通名として用いられてきました。
つまり「種としての性質=紫に色づく」をより分かりやすく表現するために付けられた呼び名、と考えると自然です。

③ 姿と色彩の特徴

通常のダシフィルムも環境によって紫に変わりますが、‘Purple Haze’と呼ばれる系統は特にその発色が強く、秋から冬にかけて淡い青緑から濃い紫までグラデーションが楽しめるのが魅力です。
葉は粉白を帯び、マットな質感を持ち、群生すると小さな雲のように柔らかな雰囲気を漂わせます。

④ 季節ごとの表情

春〜夏:青緑色が基調となり、小花を咲かせる時期。

秋〜冬:夜温の低下や乾燥により紫が濃くなり、名前のとおり霞のような紫色のカーペットを作ります。

⑤ 栽培のポイント

日当たりと風通し:光をよく浴びるほど色づきが冴えますが、夏は葉が黄色くなる構音障害に注意

用土と水やり:水はけのよい土を使い、乾いたらたっぷり与えるメリハリが基本。長雨にあてすぎないよう注意が必要です。

耐寒性:比較的寒さに強く、暖地では屋外でも冬越し可能。ただし厳冬地では霜よけが安心です。

繁殖:落ちた葉からでも根を出すため、増やすのは容易です。

⑥ むらさき園からのひとこと

パープルヘイズと呼ばれる系統は、光や温度で色彩が大きく変わるため、季節の移ろいを楽しみやすいセダムです。特に秋口に夜温が下がりはじめると、一斉に紫色が濃くなっていく様子は見応えがあります。夏場は蒸れに注意し、鉢を風通しのよい場所に置いてあげると失敗しにくいでしょう。

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まとめ

学術的には Sedum dasyphyllum の一系統。

国際品種登録はなく、流通上の呼称として‘Purple Haze’が広まった。

特徴は 秋冬の紫発色が強いこと

栽培は乾燥と寒さに比較的強く日本の蒸し暑い夏に弱いが、葉挿しで簡単に増やせる。