



- 真上
- 横
- 花芽
- 花芽 (アップ)
エケベリア原種「ラウイ」の起源
新種記載の歴史
エケベリア・ラウイは、1976年にアメリカの植物学者 Reid Moran とメキシコの研究者 Jorge Meyrán によって新種として正式に記載されました。発表は Cactáceas y Suculentas Mexicanas 誌(21巻3号、p.59)に掲載され、ここで “Echeveria laui Moran y Meyrán, sp. nov.” の学名が登場します。
発見者と献名の由来
この植物を発見したのは、ドイツ出身のプラントハンター Alfred (Bernhard) Lau です。1974年、彼がメキシコ・オアハカ州の Rio Salado と Rio Quiotepec の合流点付近でこの美しいエケベリアを採集しました。その功績を讃えて、種小名「laui」が献名されています。
自生地と環境
原記載による自生地は、メキシコ・オアハカ州の Rio Salado–Quiotepec 地域の側谷で、標高およそ500 mに分布します。ここは「テワカン–クイカトラン渓谷(Tehuacán–Cuicatlán Valley)」の一部で、乾燥した峡谷に石灰岩質の斜面が広がる独特の環境です。
保護区と希少性
この渓谷は生物多様性が非常に高く、2018年にはユネスコ世界遺産(自然遺産)にも登録されました。ラウイは局所的にしか分布しない「マイクロエンデミック種」で、野生株は現在ほとんど見られなくなっており、希少性が増しています。
むらさき園からのメモ
ラウイはその粉雪をまとったような白い葉姿から「エケベリアの王様」と呼ばれることもあります。私自身も何度も実生に挑戦しましたが、個体ごとに葉の厚みや粉の乗り方が違っていて、とても魅力的です。背景を知って育てると、一株一株がさらに特別に感じられるのではないでしょうか。
参考文献
- Moran, R. & Meyrán, J. (1976). Echeveria laui sp. nov. Cactáceas y Suculentas Mexicanas, 21(3), 59.
- Crassulaceae.ch: Echeveria laui(自生地・標高情報)
- Globetrotters Travel Notes: Discovery by Alfred Lau in 1974
- UNESCO World Heritage: Tehuacán–Cuicatlán Valley
実生で楽しむエケベリア「ラウイ」
ラウイはクローン増殖(葉挿し・カット苗)でも増やせますが、実生から育てると葉の形・色合い・粉の乗り方に個体差が出るため、唯一無二の魅力を楽しめます。
実生ラウイの特徴
- 厚みのある白粉に覆われた葉
- 丸みを帯びた整ったロゼット
- 成長は比較的ゆっくり
- 花はオレンジがかったピンク色
白粉が非常に繊細で剥がれやすいため取り扱いには注意が必要ですが、その神秘的な美しさは多肉植物愛好家を魅了し続けています。
実生のラウイ|個体ごとの違い
1. 葉の形の違い
ラウイの実生苗を見ていると、葉の形にバリエーションがあることがわかります。

→ 葉が細めでやや尖った個体。シャープな印象で白粉は薄め。

→ 葉が丸くふっくらした個体。典型的なラウイのフォルムで粉もしっかり乗る。
2. 白粉の付き方の違い

→ 白粉が厚く、全体が雪のように白い個体。葉はマットな質感に。

→ 白粉が少なめで葉の緑が透ける個体。透明感がありブルーグリーンが際立つ。
3. 色合いの違い

→ ピンクがかった個体。寒暖差や光量で紅葉しやすい。

→ 淡いブルーグレーの個体。葉数が少なく一枚の葉が大きい。
まとめ|ラウイ実生の個性
エケベリア原種「ラウイ」の実生は、同じ親から生まれても葉の形・白粉の付き方・色合いが異なるのが大きな魅力です。どの個体も個性的で、まるで一点もののアート作品のよう。
写真で比較するとその違いがよく分かります。ラウイの実生、あなただけの特別な個体を育ててみませんか?
今後も実生の成長記録や育て方のコツを発信していきますので、ぜひチェックしてください。
2025年9月5日更新|重複する内容を加筆修正しました