



- 真上
- 横
- 花芽
- 花芽 (アップ)
Echeveria xichuensis(エケベリア・シチュエンシス)
① 原種概要
エケベリア・シチュエンシスは、メキシコのグアナフアト州シチュ(Xichú)周辺にのみ自生する、とても希少なエケベリアです。2003年に植物学者 L.G. López Chávez 氏と J. Reyes 氏によって正式に記載されました。野生では岩場の隙間に寄り添うように育ち、乾燥や寒さにも比較的強い性質を持っています。
② 名前の由来と読み方
学名の「xichuensis」は、その発見地である「Xichú(シチュ)」にちなんで付けられています。日本語では「シチュエンシス」と読むのが一般的です。
③ 葉姿・色彩の特徴
ロゼットは直径10〜12cmほどで、葉は厚くて楕円形。色は深いオリーブグリーンに紫色を帯びることが多く、葉に大理石のような模様が入る個体も見られます。光の当たり方や季節によって、その模様がまるで宝石のように浮かび上がるのが魅力です。
④ 花の特徴
春になると花茎を伸ばし、サーモンピンクの外側と淡いオレンジ色の内側をもつ花を咲かせます。花序はらせん状に並び、小さな花が順に開いていく姿はとても繊細です。
⑤ 原産地と自生環境
自生地はシチュの町から北東にわずか数キロの範囲に限られています。乾燥した岩場や崖のすき間に根を張り、限られた環境の中でひっそりと生きています。そのため野生個体は非常に希少で、採集圧を避けるためにも保全が重要とされています。
⑥ 栽培の魅力
園芸的にはまだ流通量が少なく、コレクター向けの希少種として知られています。厚みのある葉と独特の色合いは、他のエケベリアにはない魅力があります。寒さには比較的強いとされていますが、やはり過湿は苦手です。鉢栽培では水はけのよい用土と、風通しの良い環境が適しています。
⑦ むらさき園からのメモ
シチュエンシスは「フミリス」と似ているとされることもありますが、葉色や模様の入り方に独自の特徴があります。ロゼットの中に浮かぶ紫がかった模様は、育てる環境によっても表情を変え、眺めていて飽きません。むらさき園でも特に注目している原種のひとつです。
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参考
López Chávez, L.G. & Reyes, J. (2003). Echeveria xichuensis, Mexican Cactus and Succulent Journal.
Huntington Botanical Gardens, International Succulent Introductions (2015).
World of Succulents, "Echeveria xichuensis"