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Echeveria caamanoi(プエブラ産・暫定名)
概要
Echeveria caamanoi は、まだ正式な学名として発表されていない、いわゆる 暫定名(nomen provisorium) のエケベリアです。主にメキシコ・プエブラ州に由来する株として知られ、研究や園芸の世界で「Echeveria sp. nov. Puebla」などと呼ばれて流通することがあります。現時点では国際的な学名データベース(IPNIやPOWO)には収載されていないため、あくまで「研究・流通段階の名前」と理解するのが適切です【Crassulaceae.ch】【Genes 2021】。
学名の扱い
海外の専門データベース Crassulaceae.ch では 「CAAMANOI, nom. prov.」 として掲載され、「プエブラ産の未記載種として流通している」と明記されています。
スペイン語版Wikipediaの種一覧でも同じく暫定名として紹介されています。
研究や写真共有サイトでは 「Echeveria caamanoi J. Reyes」 と表記されることがあり、採集地としてプエブラが添えられています。ただし、これは流通上の表記であり、正式な学名の著者名としてはまだ確定していません。
産地と分布
一次研究(Palomino et al., 2021, Genes)では、以下のように具体的な採集データが記録されています。
地域: メキシコ・プエブラ州イスタカマスティトラン(Ixtacamaxtitlán)付近
標高: 約 2,347 m
座標: 19°36′52.5″N, 97°48′47.7″W
採集標本は国立標本館(MEXU)に収蔵され、研究用のアクセス番号 JE-8311 として管理されています。
染色体とゲノムの研究
同じ研究では、この植物の細胞学的な特徴も報告されています。
染色体数: 2n = 60(=5倍体に相当)
核DNA量: 2C = 1.95 pg、基本ゲノムサイズ 1Cx = 0.39 pg
内在倍数化(endopolyploidy): 8C, 16C, 32C, 64C まで観察され、4回の内在倍数化が確認されています。
これらのデータは、Echeveria 属の進化や系列分類(本種は Urbinae グループに置かれる)を考えるうえでの貴重な情報源となっています。
形態について
現時点では正式な記載論文がなく、学術的に確定した形態診断は存在しません。園芸流通や写真記録では「プエブラ産の小型〜中型ロゼット」として紹介されることが多いですが、学名が未確定の段階では、あくまで「観察レベルの記録」にとどめておくのが安全です。
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参考文献
Palomino G., Reyes-Santiago J., et al. (2021). Chromosome Number, Ploidy Level, and Nuclear DNA Content in 23 Species of Echeveria (Crassulaceae). Genes 12(12):1950.
Crassulaceae.ch – Species database: “Echeveria caamanoi, nom. prov.”
Wikipedia (es): Anexo: Especies de Echeveria – Echeveria caamanoi(暫定名として掲載)
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むらさき園からのひとこと
この「caamanoi」は、まだ研究段階にあるエケベリアです。数字や学術的なデータは論文から得られた一次情報を紹介しましたが、姿かたちについては「こう呼ばれている株が存在する」というレベルにとどめています。正式に記載される日を楽しみにしながら、今後の研究や流通の動向を見守っていきたいと思います。
こんな言い換えはいかがでしょうか?少し表現を変えて柔らかくしています。
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むらさき園でもカマノイを親に使った交配はたくさん取り組んできましたが、特に葉の縁に入る赤みは強く受け継がれる傾向があると感じています。そのため、これからも色鮮やかで美しい交配苗が次々と生まれてくることを楽しみにしています。