コロラータ 「原種」colorata

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Echeveria colorata(エケベリア・コロラータ)の起源と魅力

― むらさき園からの発信

コロラータという種の特別さ

エケベリア・コロラータ (Echeveria colorata E.Walther) は、1972年にアメリカの植物学者エリック・ワルター(Eric Walther)が発表した原種です(Walther, Echeveria, 1972)。
学術的には、UCバークレー植物園に導入された栽培株をもとに記載され、タイプ標本(CAS 413924)はカリフォルニア科学アカデミーに収蔵されています(IPNI; CAS Herbarium Record)。その後の調査で、メキシコ・ハリスコ州タパルパ周辺の高地が主要な自生地であることが明らかになりました(ICN)。

分類上では、ワルターが同じ1972年に記載した Echeveria lindsayana がのちにシノニムとされ、さらに E. colorata f. brandtii も存在するなど、この種の整理は今なお注目されています(WFO; ICN, 1998)。

むらさき園から見たコロラータの魅力

コロラータには特に多くのタイプがあり、この種だけを専門にコレクションする愛好家も少なくありません。私自身も、そのバリエーションの広さと美しさに強く惹かれ、栽培を続けているひとりです。

葉姿や粉の乗り方、紅葉の発色は個体ごとに驚くほど違い、同じ「コロラータ」と名がついていても、それぞれに個性を感じられるのが最大の魅力です。

栽培と実生のポイント

コロラータは、私の経験では他の種に比べて結実しやすく、種も取りやすい部類です。ただし、ここで注意が必要なのは、株がしっかり大きく育たないうちは、未熟な種になりやすいという点です。

そのため、もしコロラータを入手された方には、まず株をじっくり大きく育てることをおすすめします。株が充実すれば、健康で発芽率の高い種子を採ることができ、次世代のコロラータを育てる楽しみも大きく広がります。

園芸での広がり

国際多肉植物導入プログラム(ISI)を通じて1970年代から流通が広がり、今では世界中の愛好家に育てられる人気種となっています。
白粉をまとった青白い葉に、寒暖差で現れるピンク〜赤の縁取りはとても美しく、園芸名「Mexican Giant」として親しまれる大型形もあります。

まとめ

1972年記載(Walther 著『Echeveria』)。

タイプ標本は栽培株由来(CAS 413924)。

自生地はメキシコ・ハリスコ州タパルパ周辺。

異名:E. lindsayana(シノニム)。

変異:E. colorata f. brandtii(1998年に forma へ整理)。

園芸的魅力:多様なタイプ、結実しやすさ、大型形「Mexican Giant」。

むらさき園の視点:株をまず大きく育てることが、種取りや栽培の成功につながる。

参考文献

Walther, E. (1972). Echeveria. University of California Publications in Botany.

International Plant Names Index (IPNI). Echeveria colorata E.Walther.

California Academy of Sciences (CAS) Herbarium, Type specimen CAS 413924.

International Crassulaceae Network (ICN). Species account: Echeveria colorata.

World Flora Online (WFO). Taxonomic backbone: Echeveria colorata.

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