ヘテロセファラ ペロテ「原種」heterosepala Perote

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Echeveria heterosepala Perote

① 原種概要

エケベリア・ヘテロセパラ(Echeveria heterosepala)は、メキシコに分布する原種エケベリアのひとつです。園芸的には流通量が少なく、愛好家の中で静かに注目されてきた植物です。「Perote」と呼ばれるタイプは、ベラクルス州ペローテ近郊に由来するとされ、冷涼で乾燥した地域の雰囲気をまとった株姿が特徴です。

② 名前の由来と読み方

種小名 heterosepala(ヘテロセファラ)は、ラテン語で「異なる(hetero)」と「がく片(sepala)」を組み合わせたものです。花のつくりにちなんだ命名で、和名は特にありませんが、日本では「ヘテロセパラ」と呼ばれることが一般的です。

③ 葉姿・色彩の特徴

葉は厚みがあり、やや丸みを帯びた楕円形をしており、整然としたロゼットを形成します。基本の葉色は青緑から緑灰色で、日差しを浴びることで白粉をまとったように見えることがあります。気温や乾燥によっては葉先に淡い赤みが差し、静かな彩りの変化が楽しめます。

④ 原産地と自生環境

ペローテ周辺は標高の高い火山台地で、日中と夜間の寒暖差が大きい地域です。雨は少なく乾燥した環境で、岩場や火山性の土壌に根を張る姿が確認されています。過酷な環境条件が、この種の締まった株姿や強健さを育んでいると考えられます。

⑤ 季節による色の変化

春から夏は青緑の葉を見せ、秋から冬は冷え込みによって葉先に赤みを帯びることがあります。強い紅葉ではなく控えめな色合いの変化ですが、その落ち着いた表情は原種ならではの魅力といえます。

⑥ 花の特徴

花茎は赤みを帯びて立ち上がり、オレンジ色を含む小花を咲かせます。種小名の由来にもなったように、花のがく片には特徴的な変化が見られることがあります。観賞だけでなく、交配親としての可能性も感じさせる花です。

⑦ 栽培の魅力

Peroteタイプのヘテロセパラは、ロゼットの締まりや丈夫さが魅力です。比較的耐寒性もあり、環境が合えば日本でも屋外管理で冬を越すことができます。流通数が限られるため入手はやや難しいですが、育てやすく美しい姿を長く楽しめる株です。

⑧ 繁殖の課題と方法

葉挿しでの増殖はあまり得意ではなく、子株の発生も少ない部類です。そのため、株分けや実生によって数を増やすのが現実的です。実生を行えば、地域由来の特徴を子株に引き継ぐ可能性があり、愛好家にとっては育種的な楽しみも広がります。