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エケベリア・リラシナ(Echeveria lilacina)概要
エケベリア・リラシナは、代表的なエケベリア原種のひとつで、数多くの交配種の親になっています。代表的な交配種「ローラ」は、リラシナ×デレンベルギーの組み合わせで生まれた品種であり、さらにローラを親にした交配種も広がり続けています。
分類学的には Graptopetalum amethystinum と最も近い関係にあるとされています。
名前の読み方と表記
「リラキナ」と表記されることもあります。ラテン語読みでは“ci”が「キ」と発音されるため、本来は「リラキナ」が正しい読み方と考えられます。ただし、園芸の場では「リラシナ」が一般的に用いられており、呼び方の違いは「アップル」と「エアポー」程度の差だといえるでしょう。
葉色と姿の魅力
藤の花を思わせる紫がかった色合いから、コーラルピンクまで個体差があり、その美しさは格別です。ロゼット状に広がる葉は粉をまとい、光を柔らかく反射して陶器のような質感を生み出します。葉縁のフリルは原種シャビアナよりも緩やかで、曲線美に優れています。
原産地と自生環境
原産地はメキシコ北東部・ヌエボレオン州ラヨネス。乾燥した岩場に自生しており、繊細な見た目に反して強健な生命力を持っています。むらさき園でも多数の個体を栽培しており、寒さや暑さにも強いエケベリアだと実感しています。
季節による色の変化
季節や日照・温度によって色彩が移ろい、青みがかったシルバーから淡いラベンダー、冬にはピンクを帯びることもあります。この微妙な色の変化が、リラシナをコレクターにとって特別な存在にしています。
花の特徴
春から初夏にかけて花茎を伸ばし、ややうつむいたサーモンピンクの花を咲かせます。花弁の先端は黄色く、柔らかな色合いの葉とのコントラストが魅力です。
群生と単鉢での魅力
端正なロゼット形と清らかな色彩を持ち、群生させても単鉢で育てても美しい存在感を放ちます。上品で洗練された雰囲気を漂わせる原種です。
繁殖の課題と実生の難しさ
日本ではクローン株が多いためか、結実しても発芽率があまり良くありません。複数の株で交配や自家受粉を試みても、発芽しても率は低めです。海外から種を購入しても、国内株と比べてフリルが弱いものや、リラシナらしさに欠ける姿が現れることがあります。
効率的な増やし方
こうした背景から、リラシナを効率的に増やす方法としては「葉挿し」が最も適しているといえます。