アガボイデス ロメオルビン「原種」agavoides ‘Romeo Rubin’

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① 原種概要

アガヴォイデス・ロメオ・ルビン(Echeveria agavoides ‘Romeo Rubin’)は、エケベリア属の中でもひときわ目を引く濃赤色の葉が特徴的な園芸品種です。アガヴォイデスの持つシャープな葉形を受け継ぎつつ、全体が深く鮮やかなルビー色に染まる姿は、多肉植物愛好家の間で高い人気を誇ります。

② 名前の由来と読み方

「ロメオ(Romeo)」は、同じアガヴォイデス系の赤葉品種の系統名で、「ルビン(Rubin)」はドイツ語で“ルビー”を意味します。名前全体で「ルビーのような赤を持つロメオ」という意味合いになり、その色彩の魅力を端的に表しています。日本語読みでは「ロメオ・ルビン」、カタカナで表記されることが一般的です。

③ 葉姿・色彩の特徴

葉は肉厚で先端が鋭く尖り、アガヴォイデス特有の剣のような形をしています。最大の特徴は、季節や環境によって深紅から濃いルビー色に変化する葉色で、日照と寒暖差が強まるほど鮮やかさが増します。葉先にはわずかに透明感のある赤い刺状突起があり、全体のシャープな印象を引き立てます。

④ 原産地と自生環境

ロメオ・ルビン自体は園芸選抜品種であり、野生での自生地は存在しませんが、ベースとなったアガヴォイデスはメキシコ中部の高地に自生します。標高1,000〜2,000mほどの乾燥した丘陵地帯に分布し、昼夜の寒暖差が大きく、日射が強い環境で育ちます。

⑤ 品種の成立背景(ICNの記録による)

国際ベンケイソウ科ネットワーク(ICN)のデータベース情報(2025年8月時点)によると、ロメオ・ルビンは「ロメオ」から生じた突然変異による選抜品種と記録されています。また、この「ロメオ」自体も、元はアガヴォイデスから偶発的に生まれた赤葉タイプの突然変異株とされています。

つまり、緑葉のアガヴォイデスから赤葉の「ロメオ」が誕生

さらにそのロメオから、より濃く真紅に染まる「ロメオ・ルビン」が誕生

という、二段階の自然突然変異によって生まれた系譜を持ちます。
参考:International Crassulaceae Network(ICN)公式ページ https://www.crassulaceae.ch/

⑥ 季節による色の変化

春から夏にかけてはやや緑が混じった明るめの赤を見せ、秋から冬にかけて寒さと日照によって深みのあるルビー色へと変化します。特に冬の紅葉時期は、光の角度によってワインレッドから漆黒がかった赤まで、さまざまな表情を楽しめます。

⑦ 花の特徴

アガヴォイデスらしい、黄色からオレンジ色の星形の花を咲かせます。花茎は春から初夏に伸び、複数の小花を連ねて咲かせますが、ロメオ・ルビンは観賞価値の高い葉色を保つため、花芽を早めにカットして管理する愛好家も多いです。

⑧ 栽培の魅力

強い色彩とシャープな葉姿のコントラストは寄せ植えのアクセントに最適で、単品植えでは高級感と存在感を放ちます。紅葉の美しさはもちろん、年間を通して比較的形が乱れにくい点も魅力のひとつです。

⑨ 繁殖の課題と方法

葉挿しでは成功率が低く、基本的には株分けや胴切りによって増やします。生育はややゆっくりですが、適切な日照と水管理を心がければ、色・形ともに安定して育てられます。

⑩ むらさき園からの栽培メモ

ロメオ系はとにかく日照と寒暖差で色が決まります。真冬の寒さでぎゅっと締まったルビー色は格別で、他の赤葉品種と並べると一層際立ちます。夏場はやや色が抜けますが、その変化もまた楽しみのひとつ。株の姿が美しいため、単植でじっくり仕立てるのがおすすめです。このエケベリアが持つ濃い色は紫外線を吸収しやすく、夏は遮光を強くしないと枯れてしまう可能性が高くなります