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エケベリア・シャビアナ(Echeveria shaviana)とペレグリナ産タイプ
① 原種概要
エケベリア・シャビアナ(Echeveria shaviana) は、1972年に植物学者エドワード・ウォルサーによって記載されたメキシコ原産の原種です。葉縁が波打つようにカールする姿が特徴で、その独特な姿から「フリルエケベリア」と呼ばれることもあります。
また、タマウリパス州の「Cerro de la Peregrina(ペレグリナの丘)」で採集された個体群は、地域的なタイプとして「ペレグリナ産」と呼ばれています。これは新種ではなく、シャビアナの中の産地系統という位置づけです。
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② 名前の由来と読み方
学名:Echeveria shaviana
読み方:シャビアナ
命名の由来:「shaviana」は、ミズーリ植物園(通称 Shaw’s Garden)の創設者「Shaw」にちなんでいます。
ペレグリナの由来:タマウリパス州シウダ・ビクトリア近郊にある山「Cerro de la Peregrina」が名前の由来です。
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③ 葉姿・色彩の特徴
シャビアナ全般:灰緑〜ラベンダー調の葉色。縁が強く波打ち、華やかなフリル状の姿になる。
ペレグリナ産タイプ:より淡いブルー〜ラベンダー色を見せる傾向があり、フリル感も強調されやすい。
どちらも季節によって紅葉し、群生すると花が咲いたような広がりを見せます。
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④ 原産地と自生環境
シャビアナ全般:メキシコ北東部(タマウリパス州〜ヌエボ・レオン州)。標高900〜2000mの岩場や松林下などに自生。
ペレグリナ産タイプ:タマウリパス州シウダ・ビクトリア近郊「Cerro de la Peregrina」。岩の割れ目や松葉が積もった薄い土壌に根を下ろし、乾燥と強光を避けながら育つ姿が見られます。
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⑤ 季節による色の変化
春〜夏:灰緑色〜淡いピンク。
秋〜冬:低温と日射でラベンダーやピンクが濃くなり、ペレグリナ産は特に柔らかな紫色が出やすい。
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⑥ 花の特徴
花茎はおよそ30cm前後。
初夏から淡いピンクの小花を咲かせる。
つぼみの段階では、花序が片側に垂れ下がる独特な姿を見せる。
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⑦ 栽培の魅力
波打つ葉のフリルは非常に個性的で、寄せ植えや単品植えのアクセントに最適です。
英国王立園芸協会(RHS)からも「栽培価値の高い植物」と評価されており、園芸的な選抜品種も多く存在します。代表的なものに‘Pink Frills’などがあります。
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⑧ 繁殖の課題と方法
株分けや挿し木で殖やすことが可能。
葉が薄いため葉挿しでは乾燥と水分過多の両方に注意が必要。
夏場の蒸れに弱いため、風通しと遮光が大切。
交配にも頻繁に利用され、「ブラックプリンス」の親としても知られています。
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⑨ むらさき園からの栽培メモ
むらさき園でも育てていますが、シャビアナはその繊細な見た目どおり夏の管理が難しい印象です。葉が薄く数も少ないため、強い日差しや乾燥で一気に弱ることがあります。
一方、ペレグリナ産タイプはフリルがさらに華やかで、秋冬の色合いは柔らかく優美。複数並べて育てると、同じシャビアナでも産地による個性の違いを比べる楽しみがあります。