サブセシリス「原種」

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Echeveria subsessilis(エケベリア・サブセシリス)

概要

園芸でよく「サブセシリス」と呼ばれるエケベリアは、現在では学名 Echeveria desmetiana De Smet にまとめられています。
E. subsessilis Rose(1905)はシノニム(異名)とされ、同じ植物を指す名前として扱われています。国際的なデータベース(RHS、ICN など)でもこの整理が示されています。

名前の由来

種小名の “subsessilis” はラテン語で「ほとんど無柄の」という意味です。葉が短い柄でロゼットに座るように付く姿から名づけられたと考えられています。

自生地と環境

文献では、メキシコのプエブラ州やオアハカ州で分布が報告されています。標高のある乾燥した岩場に見られるとされ、青白い粉をまとった葉姿は、強い日差しや乾燥環境への適応のあらわれです。
※ただし分布域は今後の調査や研究によって修正される可能性があります。

特徴

ロゼット:直径は10cm前後。葉は肉厚でスプーン形、青白い粉(白粉)をまといます。縁に赤みがさすこともあります。

花:春から初夏に花茎をのばし、外側が赤く、内側が黄色の花をつけます。花は咲き進むと下向きから少し起き上がるように変化する姿が観察されています。

その他:染色体数は n=32 と報告されています。

園芸での呼び名の混乱

この種は「サブセシリス」や「ピーコッキー (E. peacockii)」の名前で流通してきました。さらに園芸名「モーニングビューティー」と呼ばれることもありますが、この“モーニングビューティー”は交配種(E. cante × E. shaviana)を指す場合もあり、必ずしも同じ植物ではありません。園芸流通名と学名が混同されやすい代表例といえます。

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むらさき園コメント

サブセシリスとして出回る株は、育てやすく色合いも美しいため人気があります。光にしっかり当てると葉縁がほんのり染まり、青白い粉とのコントラストがとてもきれいです。園芸名と学名の違いに注意しながらも、その美しさを楽しめる一種だと思います。

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参考(要約・参照)

Royal Horticultural Society (RHS) Plant Finder: Echeveria desmetiana(シノニムに subsessilis, peacockii を記載)

International Crassulaceae Network(crassulaceae.ch): Echeveria desmetiana 詳細記載とシノニム一覧、分布(Puebla, Oaxaca)

World Flora Online: Echeveria desmetiana 受容名データ