多肉植物、特にエケベリアの世界に足を踏み入れれば、いつかぶつかる面白い謎があります。
それは、同じ『ヒアリナ』という名前なのに、見た目が少しづつ違うという疑問です。
特にヒアリナは同品種の中でも産地違いのものが多く取り上げるには面白いと思いました。
「ヒアリナ(Echeveria hyalina)」という一つの種に、なぜ「アウアルルコ」や「サントドミンゴ」といった地名が付随されて、それぞれが異った表情を持つのか。
今回は、エケベリアの原種における自生地の違いがもたらす美しさと、その奥深い世界について解説します。
そもそも「原種」と「自生地」とは?
エケベリアの多くは、メキシコ中南部の山岳地帯などに自生しています。 「原種」とは、交配によって作られた園芸品種(ハイブリッド)ではなく、自然界に元々存在している種のことです。
しかし、同じ「ヒアリナ」という種でも、生息する山や谷が異なれば、何千年?何万年?という時間をかけてその環境に適応し、独自の進化を遂げていきます。この地域での細かい差を、その産地情報をつけてエケベリアファンは楽しんでいます。
例えば Echeveria hyalina La Paz (エケベリア ヒアリナ ラパス) と札に書いてあるとします。
最後の La Paz(ラパス) の部分が産地情報です。
これらを踏まえてたくさんのヒアリナの産地違いを見ていきましょう
ヒアリナ アウアルルコ(hyalina Ahualulco)

メキシコのハリスコ州のAhualulcoで採取されたものと言われています。
写真のものはむらさき園で栽培しているもので、同じアウアルルコ産でも少しづつ見た目は違いますね。
画像は5月初旬の姿ですでに葉が伸びてしまっています
ただ、よく見るとアウアルルコ産固有の共通点が見えてきませんか?
葉の色は青みがかっていて、うっすら白い粉も確認できます。中心から外側に反り返っていて、触った感じ質感としては固い印象です。
冬場はもっと葉が密になってきます
ヒアリナ ラパス(hyalina La paz)

こちらはヒアリナラパス(hyalina La Paz)
文字どおり メキシコのラパス産です。
カルフォルニア半島にもラパスという地名はあるのですが、ケーレスというドイツのナーセリーからは サンルイスデラパスやグアナファトなどの産地名で種子が発売されていたようなのでグアナファト州のラパスなのかな?という感じです。
アウアルルコが青白みがかっているものが多いのに対して、ラパスは紫がかっているものが多いです。
アウアルルコと同じように中心から葉が立ち上がっていて、ただアウアルルコよりも葉が少し長く柔らかいものが多く感じます。
葉にフリルが出るものもしばしばあったりして、先端が少しだけ薄く先端から両外側にふわっと軽く反っているイメージです。
水が切れるとその特徴がよくでてきます。
ヒアリナ サンタ マリア メヒカーノ(hyalina Santa Maria Mexicano)

ヒアリナ サンタ マリア メヒカーノ は 地名としては確認できませんでした。
Santa Maria del Mexicano という村がケタレロ州にあるのは確認できました。メキシコでは聖母マリアにちなんだ地名が多いようです。
ちなみにdelは 単数の男性名詞の前に使われるお決まりのルールらしく、mexicanoはメキシコ人(男性)という意味も持つそうですが果たして・・・
こうやって現地のことを調べながら自生地の知識を深めていくのもエケベリア栽培の楽しみでもありますね。
こちらも形態がひとつひとつ違いますが、共通点は見えてきませんか?
他のヒアリナと比べると葉が短く太く厚みがあるように思いますね。
紅葉時には緑のままのものもありますし、白っぽかったりピンクがかって紅葉するものが多いように思います。紫がかっているものもあります。こちらはフリル感はあまり感じませんね。
肉厚でとても素敵なヒアリナです
ヒアリナ ヒロ(hyalina Gilo)

ヒアリナ ヒロ これ、私はギロと呼んでいましたが、スペイン読みではヒロって読むんです。読むというか聞こえるというか、発音の問題で
イロって聞こえる場合もあるかもしれません。
ギロドロップスなんて品種も出てくるし、ギロって読めるし、だからヒロって言っても皆さんが混乱すると思ってなかなかギロ脱却できなかったのですが、これを機にヒロって読んでいくことにします。
ヒロの平均的な顔は右下の感じかなと思っていますが、店頭でヒロをたくさん見てきた皆さんはどう思いますか?
伸びたら左のヒロみたいになるのかな?
若干パキフィツムのような白っぽい爪に見えたり、爪が内巻きになるものもそれなりにあったりと
こちらも平均的な特徴がありますね。
ちなみにヒロは種をまくと下のような顔のものも出てきます

アウアルルコの色合いに似ていますが、ときたま葉が割れたり少しフリルがかる時もあったりして
これを親にした交配苗がまたすごくきれいなんです。
ヒアリナ ランチョビエホ(hyalina Rancho Viejo)

このランチョビエホという地名もメキシコにはたくさんあるのですが、AGという補足情報がついているということは、アグアスカリエンテス州のランチョビエホということになるのかなと。
これはクリスタルの原石が地中から突き出てきたようなきれいなヒアリナです。
すごく太葉の子、細葉の子、青、紫、ピンク、緑、様々なタイプが見られます。
海外の種子販売のサイトでは販売種子がなくなってしまうほどの人気です。
今年はこのヒアリナを親にした交配もできてきているのですごく楽しみにしています。
ヒアリナ リオブランコ(hyalina Rio Blanco)

ヒアリナ リオブランコ これはおそらくベラクルス州由来ですかね
実はこのヒアリナは発芽が少なかったのでそれほど多くのサンプルを目にしていないのですが、このあたりがキレイどころの顔なんでしょうか? 透明感があって紫になるタイプと、緑で葉先が紫になるタイプを確認しています。
私の中ではまだ謎が深いエケベリア
今後も種子を購入して播種していきたいヒアリナです
ヒアリナ サントドミンゴ(hyalina Santo Domingo)

ヒアリナサントドミンゴはオアハカ州がめぼしいところでしょうかね
このヒアリナを使った交配、大好きです
相手親にもよると思うけど、ふんわりとしたロゼットでほのかにピンク色になる感じが多かったかな
一番ヒアリナの中でサントドミンゴに近いのはラパス産でしょうか?
ラパスよりも葉は広葉気味で色づきもふんわりとしたものが多い気がしています。
ヒアリナ トラントンゴ(hyalina Tolantongo)

ヒアリナ トラントンゴ これは今はもう種子の販売がないヒアリナです。
産地は
エレガンストラントンゴという種もあって、それと似ていなくもないですが、こちらもサンプルが少なくて平均値がわからないので、今あるものやSNSなどで見かけたものをサンプルとして基準としていかなければなりません。
エレガンストラントンゴはバキッとしていて白粉でブルーピンクというイメージでいますが、こちらは今年の冬の紅葉が楽しみです。
またの機会にお見せしたいです。
今年はこれの自家受粉が採取できました。
ちなみにこちらがエレガンストラントンゴ

エレガンスとヒアリナに関してはまたいろいろと学術的な色々があったようです。またそのあたりはいつか・・・?
ヒアリナ ピナル デ アモレス(hyalina Pinal de Amoles)

ヒアリナ ピナル デ アモレス これはパソコンで打つの疲れます・・・
産地はおそらくケレタロ州でしょうか
昨年全滅したので葉ざしでお察し下さい。
私は好きなんですが、あまり店頭でも見ないですね。
これが大きくなったら画像も差し替えるのでお待ちください。
ヒアリナ まとめ
もっといろいろとお話したいことがあったと思うのですが、今回は駆け足でヒアリナの産地違いの紹介だけになってしまいました。
こんなにたくさんの産地違いを見ることができるヒアリナは女性にも特に人気がある品種です。
ヒアリナという名前もまた癒される名前です。
ここの写真の顔たちはむらさき園での平均値
皆さんのもとではどんなヒアリナたちが育っているでしょうか?
この先の新しい出会いもワクワクしますね。
次回のお題はのちほど、また金曜日にお会いしましょう。