1.結論:ローラは交配で作られた品種、ルンヨニーは自然の原種だから

エケベリア 交配種 ローラ
お店でお客様とお話ししていると、「ローラを自家受粉してもローラが出ないのはどうして?」というご質問をいただきます。
その答えはとてもシンプルで、ローラは“交配で作られた園芸品種” ルンヨニーは“自然のままの原種” この違いです。
交配で生まれた品種は、いろいろな遺伝子が混ざっているため、種から育てると形がバラつきやすいんですね。一方、原種は遺伝が安定しているので、自家受粉でも同じ姿になりやすい特徴があります。
2.ローラを自家受粉したらこうなった

交配種 ローラの自家受粉
ローラを自家受粉してできた種をまいたところ、葉が肉厚の個体、黄色、赤みが強い、葉が薄い、葉が長い、爪、の色が赤い、などなど様々なタイプの苗が生まれました。
こういった苗をローラとして販売してしまうと、それらがそれぞれ葉挿しで増やされていった時に、世の中にはたくさんのタイプのローラが存在することになってしまいますね。
ただ、こういったものからは今までにない新しい表現をしてくれるきれいな苗もたくさん生まれて来るのも事実です。
3.原種ルンヨニーは“遺伝が安定”しているからそのまま子に受け継がれる

エケベリア原種 ルンヨニー
ルンヨニーは自然の中で長い年月をかけて形が安定した原種です。もともと持っている性質がしっかり固定されているため、
自家受粉しても ほぼ同じルンヨニーの姿 が出てきます。「種まきで同じ形が出やすい」のは原種ならではの良さです。
下の2つは上の株の自家受粉から生まれたもの
左のものは海外種子からの実生(種から生まれたもの)
4. 一方でローラは複雑な血統を持つ交配種だから形質がバラつく

エケベリア原種 リラシナ

エケベリア原種 デレンベルギー
ローラはご存じの通り、別の品種同士を掛け合わせて作られた園芸種です。原種リラシナと原種デレンベルギーの交配種と言われています。
リラシナとデレンベルギーを交配したらその子達がすべてローラになるの?
答えはいいえです。
すでにその子達の中から一つだけ選んで、それを葉挿しなどのクローンで増やしてきたもの、それらがローラなんです。
このような交配種の場合は、遺伝子の組み合わせがとても複雑で、葉の形、色の出方、厚みやロゼットの整い方、といった性質が、自家受粉で大きくバラつきやすいんです。
ローラの自家受粉に関しては、原種リラシナと原種デレンベルギーの遺伝子の組み合わせが複雑にシャッフルされて様々な個体が生まれてくるということなんです。
そのため、ローラのタネを蒔いても、親と同じ姿になるとは限らず、むしろ “ローラではない子” がたくさん出てくる のが普通なんです。
5. 原種と園芸種で起こる「遺伝の安定度」の違い

もう少しやさしく整理すると、こうなります。
原種の特徴
- 遺伝子がそろっていて安定している
- 子どもも親と同じ姿になりやすい
- 自家受粉で形がばらつきにくい
園芸種(交配種)の特徴
- 遺伝子が多様に混ざっている
- 自家受粉すると形がバラつく
- 選抜して作られた“完成品”なので、タネからの再現が難しい
だから、ローラのような交配種のほうが、タネを蒔いた時に“いろんな表情の苗”が出てきやすいんですね。
6. ローラをタネから再現できないのは、遺伝が固定していないから
ローラの可愛い姿は、いわば交配が生み出した奇跡のバランス。その組み合わせはタネになると崩れてしまうことが多く、
同じローラを再現することがとても難しいんです。
一方のルンヨニーは、もともと自然界で形が整い、遺伝も安定した原種。そのため 自家受粉で自然と同じ姿が出てきやすい のです。
7. まとめ:それぞれの性質を知るとタネまきももっと楽しく
まとめると、原種は遺伝が安定しているから自家受粉で原種が出る。交配品種(ローラ)は遺伝が混ざっていて固定していないため、同じ姿にはならない。というのが今回の答えになります。
タネまきは、原種と交配種でまったく違う楽しさがあります。原種は安定性、交配種は予想できないワクワク。
どちらも知っておくと、育てる幅がぐっと広がりますよ。
さて、実は同じ種の原種でも産地によってまた形質が違うって知っていましたか?
次回はそんなお話をさせていただきますね。
下の画像はすべてヒアリナという品種です。(ヒアリナはシムランスとかいう話は一旦おいておきましょう)
